トー横キッズは消えたのか、それとも“見えなくなっただけ”なのか─コンカフェ呼び込みロード消滅、闇スロ摘発…歌舞伎町で進む「浄化」と「地下化」の実態

CASE

歌舞伎町を歩くと、数年前とは景色が変わったことに気づく。

かつてシネシティ広場周辺には、トー横キッズと呼ばれる若者たちが集まり、深夜になると路上には独特の空気が漂っていた。GiGO前にはコンカフェの呼び込みが並び、客引きの声が飛び交っていた。

しかし現在、その光景は確実に薄れている。

警備員の巡回は増え、シネシティ広場ではキッチンカーやイベントが頻繁に開催されるようになった。GiGO前も以前のような“呼び込みロード”の様相は見られない。

一見すると、行政が進めてきた「歌舞伎町浄化」は成功しているようにも見える。

だが、現場で話を聞くと、まったく違う言葉が返ってきた。

「消えたんじゃないですよ。見えなくなっただけです」

そう話すのは、長年歌舞伎町で営業を続ける店舗関係者だ。

「追い出された」若者たちはどこへ行ったのか

トー横キッズ問題が社会問題化した頃、シネシティ広場周辺には連日のように若者が集まっていた。

補導、オーバードーズ、家出、売春――。

メディアでも繰り返し取り上げられた。

現在、広場周辺で同じ規模の集団を見ることは少ない。

しかし関係者は言う。

「集まる場所が変わっただけです。SNSで連絡を取り合って、ネットカフェや個室に移っている」

以前は路上にいたから見えた。

今は見えない。

それだけだという。

「昔は警察も声をかけやすかった。でも個室やネット上になると実態が把握しづらい」

問題が解決したのか、それとも把握しにくくなっただけなのか。

現場では後者を指摘する声が少なくない。

コンカフェ嬢も“路上”から“スマホ”へ

同じ現象はコンカフェにも起きている。

数年前のGiGO前は、夜になるとコンカフェ嬢たちが並び、通行人への声かけが当たり前の光景だった。

しかし現在は警備員の巡回も増え、同じ場所に長時間立ち続けることは難しくなった。

現役コンカフェ関係者はこう話す。

「昔は路上で新規のお客さんを拾えました。でも今はTikTokや配信のほうが重要です」

店の前に立つより、スマホの画面に映る方が客を呼べる時代になった。

X、TikTok、ライブ配信アプリ。

客との接点は路上からSNSへ移った。

「呼び込みが減ったように見えるのは事実です。でも営業自体がなくなったわけじゃない」

路上が整理される一方で、集客はオンライン化している。

「見えなくなったギャンブル」

今年に入っても歌舞伎町周辺では違法賭博店の摘発が続いている。

かつてのように派手な看板を掲げる店は少ない。

紹介制。

会員制。

SNS経由。

表からは見えない形で営業するケースが増えている。

ある関係者はこう語る。

「昔の裏社会は分かりやすかった。今は普通の雑居ビルの一室だったりする」

つまり、消えたのではなく潜った。

それが現場の感覚だ。

行政と街にある温度差

こうした状況の中で、行政と現場の間には微妙な温度差もある。

今年11月には新宿区長選挙を控えている。

区役所は歌舞伎町のすぐ隣にあり、トー横問題や客引き問題は長年の課題だった。

行政としては、

* 路上滞留

* 客引き

* 深夜トラブル

を減らしたい。

一方、歌舞伎町の古参関係者の中には別の見方もある。

「昔はヤクザが普通に歩いていた街ですよ」

そう話す男性は続ける。

「今は若い女の子だけでも来られる。昔より安全になったのは間違いない」

もちろん問題がなくなったわけではない。

だが、街の人間からすると、

「何をもって“正常”とするのか」

という感覚もある。

本当に消えたのか

トー横キッズ。

コンカフェ呼び込み。

違法賭博。

かつて歌舞伎町で目に見えていたものは、確かに減った。

しかし現場で聞こえてくるのは、

「なくなったのではなく、見えなくなっただけ」

という声だ。

行政が整理しようとしているのは、まず“見える問題”である。

だが、人も金も欲望も、行き場を失えば別の場所へ流れる。

歌舞伎町を歩いていると、そんな現実を感じる。

街は確かに変わった。

しかし、その変化が「解決」なのか「地下化」なのか。

その答えは、まだ誰にも分からない。

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